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ものづくり道場  2017年

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2017/7/31「商い」によって様々な慣習があるということ

テーマ「商い」によって様々な慣習があるということ
講師 生産技術部 調達課 課長代理 海老原祐二

いままでの講義とは異なるものづくりのためのヒトやモノの調達や価格、流通に関する講義です。
これには継承されてきた技術の教科書などなく、市場によって変化する流通や慣習を的確に察知して、ヒトやモノを製造現場へとつなぐ調達スキルの講義です。

製造業の流通構造は複雑が常識!?

工作機械などの商社の製品カタログを見ても数十万点、1千頁もの製品があり、代理店加盟社は1800社に渡る。
古くから社会慣習として継続されてきた複雑な流通経路は代理店制度が通常である。代理店制度とは直接メーカや部品業界と取引できず必ずといっていいほど代理店が介在する。2次代理店、3次代理店など3社程度またがりそれぞれに仲介料が発生し利益とされる、まさに相互に融通を効かせた横のつながりで成立し、現金取引はしない。そこに新規代理店として割って入っていくのはかなり困難だといえる。昨今はインターネットの拡大により直販に舵を切り、卸を通さない流通傾向もみられる。
モノの流れを創りだす会社としてまさに知っておくのがモノの流通で、FACE to FACEの御用聞きが基本。
流通各社は協力会、同盟会を結成し会員のネットワークで取扱製品が横に広がっていく仕組みできちんと棲み分けされている。そこには製品を広く流通させ安定的な需要と供給が約束される。メーカは営業所や人員を全国多岐にわたり配置するなどの営業コストが大幅に削減できること。在庫を抱えることなく迅速に調達できる。また貸し倒れのリスクや与信の管理にも安心。
以上のことから街の工具備品店といった零細企業が長年成立してきたといえる。

代理店のメリット、デメリットと新興勢力

代理店制度と比較すると効率とコストパフォーマンスがいいがリスクは大きいネット直販。代理店制度のデメリットは市場やユーザーを制限してクローズドされた流通で拡販はなかなか望めず新規参入も難しい。

これから益々需要拡大のネット物流!?

近年インターネットによるネット通販が新興勢力として成長してきている。特に既存の流通に規制されることのない物流会社が流通業として業務拡大をしている。
現状では特殊性のある製品や品揃え、特価品などはまだ追いついていないが迅速な便利さでは定価販売のコンビニエンスストア並みである。

これからのハイテックはまさにハイブリッド調達

異業種参入のコンビニエンスストア形態と既存の代理店制度をうまく使い分け、「簡単さ」に流されることなくきちんと価格や品ぞろえを見据えた、より効率的な商いをすることが調達スキルとして望まれる。
これからの新規案件は情報収集速度で決まってしまうほど日常のリサーチ能力が重視され、営業は最初にどれだけ新規取引先の要望と必要な情報、相場をつかんでいるかが重要です。常に調達担当として選択肢を2種用意し戦略を立てること、それには先輩や経験者の意見をまず聞くことがステップアップの第一歩。現在だけではなく過去の状況をきちんと知って先方と話を進めていくこと。積み重ねてきた調達スキルが半世紀以上継承されたハイテック精工としての武器になることがこれからの成長につながります。

テーマ「商い」によって様々な慣習があるということ

製品や部品の調達なくしてモノづくりは成立しないのがこの仕事の醍醐味でもあるのです。
もっと調達を身近に楽しんでほしいですね。(by 海老原)

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